映画「カメラを止めるな!」がヒットした理由を色んな角度から分析してみたいと思います。
分析してみた結果ですが、再現性のある要素が分かりました。
ぜひご覧くださいm–m
というのも、今日の映画「カメラを止めるな!」を見てきたんですが、映画館は平日の昼なのにもかかわらず満員ですよ!
平日の映画で満員って経験したこと無いんで、なんでこんなに人気なのか気になったんですよね。
もともとコンテンツのバズには興味があるんで、そのあたりの要素とも比べてみたいと思います。
目次
映画「カメラを止めるな!」の概要
まず概要を少し説明します。
- 監督と過去作
- 監督の作家性
- 映画の出演者
- 映画が広まった経緯
監督と過去作
監督は上田慎一郎という方です。
意外と優しそうな爽やかな人ですね笑
中学時代から自主映画を取り始めたらしいです。
生まれ持っての映画好きの人なんですね!
なかなか経歴が面白くて
- 高校生の時、琵琶湖をいかだで横断する
- ハリウッドを目指して英語の専門学校に行くも半年で退学
- ヒッチハイクで詐欺に合う
- SF小説の自費出版で借金を抱える
- ホームレス生活を経験する
と少しぶっ飛んだ方のようです笑
才能がある人がぶっ飛んだ事すると、それすらも正当化されるのでいいですよね
過去作の映画はこの2作だけらしいです。
- お米とおっぱい。(2011年)
- カメラを止めるな!(2017年)
短編映画は何作か監督をしてるようですね。
- マゾヒスティック・バースデイ-サンクチュアリ編-(2009年)
- 恋する小説家(2011年)
- ハートにコブラツイスト(2012年)
- 彼女の告白ランキング(2014年)
- Last Wedding Dress(2014年)
- 猫まんま(2015年)
- テイク8(2015年)
- ナポリタン(2016年)
- ナニカの断片「サングラス」「炊飯器」「ガゼルがパインツ」(2017年)
- ヘタクソで上手な絵(2017年)
- たまえのスーパーはらわた(2018年)
- 正装戦士スーツレンジャー(2018年)
現状、一般の僕らが手軽に見れるような作品は
YouTubeにあがってる「テイク8」の短編映画だけのようです。
↓こちらです。
監督の作家性
監督さんはインタビューで「やめとけ」と言われると燃えるタイプ
と言ってることから、結構負けず嫌いで熱血な感じですね。(見た目は爽やかなのに、ギャップがいいですね)
人が踏み込まないような未知の領域に好奇心が向く冒険者タイプな感じがします!
過去の作品と共通する作家性ですが「ギクシャクした人間関係が本音が入り交じる演技というプロセスを経ることで、一歩踏み込んだ相互理解が生まれ、それぞれが成長する姿を描いている」というふうにムービーウォッチメンで宇多丸さんが話してました。
確かに、今回の映画にもその要素はありましたよね。
映画の出演者
出演者はほぼ無名の人ばかりのようです。代表的なところだけ紹介しますと。
こんなキャスティングになってます。(映画の登場人物と役者の名前リンクさせてますね笑)
日暮隆之 | 濱津隆之 |
---|---|
日暮真央 | 真魚 |
日暮晴美 | しゅはまはるみ |
松本逢花 | 秋山ゆずき |
神谷和明 | 長屋和彰 |
面白いポイントは
主役の濱津隆之さんはNSCの11期生だったらしいです!
中川家、陣内智則、たむけん、ケンコバあたりが同期に当たりますね!
ヒロイン役の秋山ゆずきさんはアソビシステムに所属してるらしいですね。
もともとアイドルだったとのことで。可愛いですもんねー
映画が広まった経緯
この映画もともとは都内2館だけので劇場公開だったらしいんですよ。
でも、大盛況で公開規模は広がって、累計の上映館数は150館まで拡大したらしいですよ!累計動員数は15万人を突破したとのこと
すげージャパニーズ・ドリームですよね!
SNSなどの口コミで話題になって徐々に広まっていったみたいです。
アメリカの映画批評サイト「インディワイヤー」は「『ショーン・オブ・ザ・デッド』以来で最高のゾンビコメディと評価したみたいです。凄いことですよね。
映画を見た感想
実際に映画を見た感想を書いていきますね。
ネタバレは無いように書いていきますー
魅力①映画の構成
映画としての構成がすごいですね。
どいういう思考回路してるとあんな展開の脚本を作ることが出来るんでしょうかね、、
伏線の回収も凄いですし、全部の感情を操られてるようで映画を見ててほんと面白かったです。
上映中「ん?」って思ったところはもれなく、「おー!」に変わりますもんね笑
魅力②溢れ出る映画愛
内容が映画愛に包まれてますよね、関わっている人全員が映画制作が好きなんだろうなーって思えてくる熱量ですよね。
映画だけでなくて、なにかモノを作る熱量みたいなのにも共通するところがあって、そこがみんなの心をキャッチしたところでもあると思います。(私もキャッチされました笑)
魅力③キャスティング
出演者の魅力を最大限に引き出してる映画ですよね。
今回のこの映画は、実は当初どのような映画を撮るかは決めていなかったらしいんですよ。主演である監督役の濱津の「情けない感じ」が「頑張っている様子が滑稽で愛らしいキャラクター」を演じられる!と思ってこの映画をとることを決めたらしいですね。
凄いですよね!でもなんか、あの主役の方の人間味が凄い溢れてる映画だなって感じてたんで、納得感ありますね。
脚本を出演者の魅力を軸に作り変えてるらしいですし、この監督さんは人間愛に溢れてるんだろうなぁと改めて感じました。
劇中に「俺の映画だ!」って監督が横暴に叫ぶシーンがあるんですけど、これってキャストを思うがゆえのこだわりだったりするところに繋がるんじゃないかなと思います。
ヒットした理由を分析
それではいよいよ、ヒットした理由の分析をまとめていきたいと思います。
口コミによる拡散の法則
スパイスボックスが発表した面白い分析結果がありました。
独自のツールを使用してSNS上の口コミデータや行動データを集積したものらしいです。
口コミの推移から見てみましょう
(出典:スパイスボックス)
11月の先行上映時点での口コミ数は4000です。
この数字は、どんな映画でも大体発生するレベルの口コミ量とのことです。
11月から2018年の2月までは1度口コミ数は減っています。
2018年の3月以降口コミ数が増えていることが分かります。
この時「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」での大賞を受賞しています。
この時点では映画関係者、もしくは感度が高い人のみが認知していると想像出来ます。
そこからじわじわ増えていき、6月の時点では約30万の口コミ量で、7月になると90万を超える口コミ量になっています。
これはマーケティングのキャズム理論が当てはまりますよね。
(出典:https://ameblo.jp/yujioioioi/entry-12284700396.html)
キャズム理論での基礎理論として知られるモデルでは、顧客は「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つのタイプに区分され。
この理論では商品は「イノベーター」と「アーリーアダプター」を合わせた層に普及した段階(普及率16%超)で急激に拡がっていくとされています。
スパイスボックスが同時に発表したデータで、口コミ内容の推移まとめというものがさらに具体的にこのキャズム超えの現象を説明しています。
(出典:スパイスボックス)
キャズムを超えることを社会現象化とした場合、
映画が社会現象になるまでに3つの口コミが起こるポイントを示しています。
それぞれのポイントでは、以下の要素が必要であると結論つけています。
- 映画通での話題になる要素
- 映画通から一般人へ広まるための要素
- 一般人へ広まった後、社会現象になるまでの要素
今回の「カメラを止めるな!」の場合だと
①映画通での話題になる要素
映画関係者が人に話したくなる要素として以下が挙げられています。
- 人に伝えたくなる面白さ
- 映画愛
- ワンカット、ギミック
②映画通から一般人へ広まるための要素
一般人に広まった要素として以下が挙げられています。
- 低予算なのに
- ゾンビ映画なのに
- 無名監督なのに
ここでは〇〇なのに〇〇というギャップが口コミが広がる要素として重要と結論つけています。
これは実際にオカンから言われた言葉ですが、「カメラを止めるな!って映画知ってる?ゾンビ映画なのに笑えるし、しかも泣けるらしいで」
このように、〇〇なのに〇〇という要素は、それだけでストーリーを想像でき、人に伝えたくなる要素として機能していると思われます。
③一般人へ広まった後社会現象になるまでの要素
一般人に広まってから、社会現象になるまでの要素では
- 大行列
- 完売
- 台風、猛暑
この要素が挙げられています。
前者2つは行動心理的に「みんなが見てるから自分も見る」というバンドワゴン効果が働いたと思われます。
あとは、娯楽の選択肢として映画を選びやすくなる外部的な要素が影響したとさています。
つまり、映画が社会現象になるには各フェーズごとに鑑賞者を定義し、各鑑賞者群が誰かに口コミしたくなる要素が必要ということが分かりました。
バズを生む要素との比較
次はSNSのバズマーケティングのバズが起こる要素から、これらの要素を見ていきたいと思います。
こちらは「バズのツボ」と呼ばれるもので、栗林和明氏が定義したものです。
これには人が人に伝えたくなる要素として6つの原則があると言われています。
今回の「カメラを止めるな!」では
- 普遍性
- 予想外な展開
- 共感・納得
の3つの要素が主に機能していると思われます。
具体的に見ますと
普遍性
この映画のテーマは、家族愛について描かれたものですよね。
この家族愛はまさに普遍的な人の欲求であり、誰もが共感できる要素になってます。
クレヨンしんちゃんが今でも愛されてるのも同じ理由かと勝手に思ってます。
時代問わず愛されてる作品てテーマに普遍性があるものがほとんどですよね。
しかもその普遍性がよりヒトとしての欲求に近いものの方が共感を得やすい傾向にあると思います。
予想外な展開
これは、まさに先程の「〇〇なのに〇〇」という口コミ要素に当てはまると思われます。
今回は、映画の内容と映画自体の2つの意外性が機能していると思われます。
映画の内容
- ゾンビ映画なのに泣ける
- ゾンビ映画なのに笑える
映画自体
- 低予算なのに面白い
- はじめは上映2館だったのに拡大された
- 無名監督なのに面白い
- 長編映画なのにワンカット
共感・納得
これは映画のテーマや構成に関するもので、主人公への共感や、脚本の巧妙さに納得(なるほど!っていう感情)出来たことが大きいと思われます。
また初期の映画関係者からの口コミを獲得した要素としては「映画愛」という共感が大きかったと思われます。
「映画バカはゾンビが好きなんだよ!」っていう感じで誰かに言いたくなるんだと思います笑
まとめ
後付ではありますが、このように見ていくと、この映画って広まるべくして広まってるんですよね。(意図的に口コミまで設計されてたのかどうかはわかりませんが笑)
まとめていて面白いと思ったポイントしては、
- 口コミ拡散の発信者が各フェーズごとによって変化する。
- マーケティングのキャズム理論に当てはめて考えることができる。
- 口コミ拡散を設計する要素として①普遍性②意外性③共感性の3つが映画口コミには有効になる
- 映画が拡散する要素として映画の内容だけでなく、映画自体のストーリー(無名監督が作ったとか)が有効になる
というところでした。
正直ね、こんな色々まとめたけど映画が面白いから!
の一言につきると思うんですよね笑
でも、あえてこういう視点で映画を見てみるのも面白いなと思った今日このごろです!
共感できたら、このまとめも口コミしてくださいね笑